試行 1
 試行の最初からのつまずき


 新しく会社を起こして、二人の臨時社員を雇った。1ヶ月して、その先が見えたのは、一人分の給与しか捻出できないようなシステムだった。そのため、事業資金の流失をおさえるために、二人の社員に、給与を今後はらえないことをつげた。
 でも、「ありがとう通貨」を発行して、それがどこまで続くかを試してみたいと告げたら、一人は怒り出して、さっさと退社しようとした。もう一人は、条件付きで承諾してくれた。

 私はとにかくお金でなく、ありがとう通貨でどこまでのことができるのかを試したかったからだ。でも、ありがとう通貨のような地域通貨がどんなものなのかを基本的に理解していない者にとっては単なるボランティアで働くようなものでしかようにうつるらしい。

 そこで、わかったのは、ありがとう通貨が適応できる社会とは地域通貨を理解した特別な少数の者の間でしか通用できないことだった。そのため、それを実行するにはまず地域通貨を理解してくれる者の団体に加入するか、または募集するかである。

 でも、一人でも、ありがとう通貨の実験に協力してくれるというので、それをとにかく、推し進めてみたい。
 してもらうと・・・できる

 ありがとう通貨は基本的に「1対1」の関係だから、協力してくれる相手と二人だけでまずその基盤を築き上げた方がいい。

 時間通貨の問題点


「してほしいこと」と「できること」の交換を会員相互でするシステムだが、そこでもっとも大きな問題は、時間通貨の流通がすぐにストップしてしまうことだ。

 つまり、ある特定な人のところに時間通貨が集まって、それが使われることなく保存され、しまいには紙同然になってしまうことだ。


 これは、人の能力の差があまりにも大きいため、「してほしい人」はたくさんの時間通貨を発行するが、「できる人」はたくさんの時間通貨が集まって、そこで終わってしまうからである。

 そこで、この流通を促進するには、時間通貨の特性である1対1の関係において、それが相互に流通する契約でないと、使用できないようにすることだと思われる。

 例えば、

二人の関係においては、

「あなたに・私のことの・・・してもらえば」→「私はあなたの・・・のことをします」という約束をかわすことである。

 これは、

 「・・してもらえば」「・・・する(できる)」の関係であり、それは時間の時間の交換である。

 お金が、物々交換から発展したように、

 時間通貨であるありがとう通貨は時間交換から発展することができると思われる。その場合、

 例えば、

 「あなたが私の部屋を掃除してくれれば(ありがとう通貨1時間)」「私はあなたの買い物をしてきます(ありがとう通貨1時間)」

 つまり、「あなたのりんごと私のみかんを交換しませんか」という物々交換のように、「あなたの買い物と私の掃除」を時間交換するときのような連続であれば、時間通貨の流通がストップすることはない。時間通貨の特性が1対1のように、その流通もまた1対1であることが必要だと思われる。

 それは、「私の掃除をしてほしい」で「誰かがその掃除ができた」で終わったら、そこでありがとう通貨の流通はストップしてしまう。もし、流通をとめないためには、「あなたが掃除をしてくれれば、私は買い物を代行する」という相互の行いの交換がなければならないということである。

 いわば、時間通貨はお互いの「行いの交換」だともいえる。

 そこで、ありがとう通貨は下記のようなものになる。

 してくれれば  ・・・してあげる
1.時間通貨の場合

 まるで、簿記のバンスシートみたいになる。

 この例の場合は、相互がサービス(労働時間)なので、お金がからまないでもできる。

 だが、実際の生活の上で、時間交換よりも、お金の金額を目安にした交換の方が多いのである。それは、他人になると、お金に交換できるようなものになる。

例えば、

 「あなたの車を時々かしてもらえれば」→「私はあなたの家の玄関を毎日掃除する」


 この計算は、車のレンタル料金を月30000円とすれば、玄関そうじ20分を1000円の清掃料として、交換したことになる。

 これをありがとう通貨で表すと、

2.契約通貨の場合

 つまり、お金を基準にした交換なので、実際のお金は使用しないが、お金にも変換できる内容となる。でも、この場合は、時間通貨ではなく、お金がなくても、助け合えるとても便利な契約通貨だともいえる。

 この手の交換は地域通貨ではクーポン券に利用されたりする。この契約通貨は他人も同じように使えるかというと、能力も、立場も違うので、難しい面がある。


 
 流通の一回完結を広げれば・・・・

 時間通貨の流通にあたって、時間通貨を一回ごとに、使用完結させ、同じ内容は二度と流通させないことが、むしろ、一回毎の新しい創作契約が生まれ、そうした発想を刺激しあうことで、ありがとう通貨が流通していく(常に新しいありがとう通貨が生まれてくる)ということになってくるのではなかろうか。