ベーシックインカム用のマネーを発行せよ


1,アクセル貨幣とブレーキ貨幣

 現在の貨幣は中央銀行からプラスの利息で貸し出される紙幣のため、債券である。そのため、株もどんな通貨も債券としての売買で、その変動価格が決められる。

 お金でお金をギャンブルするかのように生み出したり、消えたりする。そのため、そうした金融商品による金融経済の方が実質経済の数倍もの取引がされている。

 ギャンブルに買った者は大金持ちに、負けた者は破産で無一文になり、貧富の格差は広がっている。

 それは家計において、おやじさんがギャンブルに凝って、買ったときは贅沢になり、負けると家計は火の車となり、家族は悲惨な状況に追い込まれるような実質経済が不安定になている状態であるといえる。

 そこで、お母さんは知恵を絞って、へそくりをし、毎日の食費だけは確保して家族が生きられるようにする必要がある。

  その生きていけるだけの最低の食費を保証するようなお母さんの知恵が現ギャンブル貨幣には使われない新貨幣の発行が必要な時代になっている。

 この新貨幣は現債券ギャンブルの暴走を押さえるために、中央銀行から、プラスの利息で貸し出される債券とは反対に、マイナスの利息で貸し出される債券を発行すれば、その暴走を押さえることができる。それはプラスの利息債権が車を運転するアクセルであれば、マイナスの利息債権はブレーキである。

 貨幣という車はアクセル貨幣とブレーキ貨幣の2つの機能で、安心して運転できるようになる。

2,マイナスの利息貨幣とは


  例えば、計算しやすいように、銀行の預金のプラスの利息が年10%増えるとしたら、100万円預金すれば、1年後は110万円に増える。

 しかし、100万円の預金にマイナスの利息が年10%かかれば、10%減ることになるので、1年後は90万円に経る。単利でいくと、10年後には預金残高は0円になるような貨幣である。

 これはゲセルが自然現象としての貨幣を提唱した 腐る貨幣のことである。


3,腐る貨幣とは

 それは自然に栽培された米のような貨幣であり、もし米が年10%腐り、10年後にはその米はすべて腐って食べられなくなるようなものである。

 米が腐ると大地に捨てられる。それはやがて大地の肥料になり、再び、米が造られることになる。

 米が腐り、それが大地の肥料に、そして再び米になるように循環する貨幣が腐る貨幣である。

 貨幣の発行は大地のような中央銀行であり、貨幣は米であり、腐った米(肥料)は税金で回収された貨幣であり、再び発行するのはまた中央銀行である。

 米は国民が食べられるだけ発行すればよいので、それが一定の貨幣発行額になる。米は多く生産してもムダになるし、少なくても困るので、国民が生活できるちょうどよい貨幣額が必要になる。
(これは昔金本位制であったのは、無駄な貨幣発行額を一定にするためには好都合な条約であったと思われる)

4,国民すべてが食べられるためには


  米を貨幣だと仮定すると、国民すべてが米を食べられるように、米を生産するごとく、貨幣も生産した米と交換できる額だけ発行するだけでいい。

 現貨幣は自由市場なので、各国民はできるだけ生産された米をうばいあうようにして、自分のものにしようとする。そして、その自由競争において勝った者だけがより多くの米を手にすることができるが、負けた者はまったく米が食べられなくなってしまう。

 しかし、国民すべてが食べられるような貨幣は国民すべてが平等に分けられるような分配貨幣であることが必要であり、米の生産も食べられるだけにして、けして、それ以上生産して、その米を奪い合うコインのような貨幣にはしない。

 しかし、米を安定的かつ楽しく競い合いながら生産することは、より生産性と内容をよくすることにつながる。それはまさにオリンピックのようなスポーツ精神である。しかし、そのスポーツには必ずルールが存在し、誰でもが公平に参加する資格があることが重要である。また、負けた者がまったく食べ物を与えられないように殺してはならないのが最低限のルールである。

 国民が最低限でも自由市場で食べられる参加資格を与える貨幣がベーシックインカムである。例えば、どんな国民にも月10万円の給付をするというのがベーシックインカムである。

 その月10万円のベーシックインカムの財源は新貨幣であり、目的がベーシックインカムであることから、BIマネーという名前を付けることにする。

 このBIマネーの発行額は国民が1億人いたとするなら、月10万円としたら、月のBI貨幣発行総額は10兆円である。年にすれば120兆円になる。

 その財源は中央銀行が発行すればよい。そして、毎年貨幣を120兆円分生産できるようにするには、米の生産消費のように毎年120兆円発行し、それをベーシックインカムとして国民すべてに配布し、米と交換されたBI貨幣をすべて税金で回収すれば、一定のBIマネーが廻ることになる。

 それはBIマネーはいわば国民すべてに平等に配布する米の交換券になるようなものである。

5,BIマネーをいかに廻すか


 これは貯蓄税付き電子マネーであるが、実際的にはこうした理論だけではうまく廻らないと思われる。

 というのは、BIマネーは現貨幣と同じくどんな商品でも買い交換できるものである。そうしないと、ひとそれぞれの事情に合わせた最低限の生活保障にはならない。病気した人には食べ物よりも薬であり、また、人によっては「人はパンのみで生きるにあらず」ということだってある。人それぞれの生き甲斐があり、それを一つの食べ物として限定することはできないからだ。

 
A:貯蓄税で廻す

 BIマネーは紙幣では隠されると貯蓄税はとれなくなる。しかも、申告には不正が必ずおきるだけでなく、それは面倒過ぎる。

 そのため、BIマネーは銀行の電子マネーの預金の額になる。例えばAさんが米1000円ををBさんから買ったとすると、Aさんの銀行預金から、Bさんの銀行預金に1000円移動するだけになるので、紙幣のように隠されることはない。

 貯蓄税はBさんの銀行預金から銀行のマイナス利息として差し引かれ、発行元の中央銀行に回収される。

 こうした発行と回収はコンピュータが自動的に計算して行えるので、まったく人手によって、貯蓄税を回収して、それを国民すべてのベーシックインカムとして配布することも機械で可能である。政治家の賄賂や無駄遣いも無縁になって正確に実施できることになる。

B:資産税で廻す

 BIマネーはどんな商品でも買えるので、貯蓄税を免れるために、すぐに不動産や株式や金、為替などに投資するようになるだろう。

 そうなると、BIマネーを持った人だけが損をし、商品を買い占めた方が得をすることになる。そこで、BIマネーに貯蓄税をかけたら、すべての商品に資産税をかけることで損得がなくなり、公平に税を負担することになる。

 不動産は法務省が管理し、それに合わせて税金がかけられる。金融商品も証券会社が管理しているので、その持ち主も判明する。

 そこで、BIマネーに対する貯蓄税率と同じ税率で、資産税を自動的に銀行から回収するのである。

6.現貨幣とBIマネーの関係



 例えば、資産1億円ある人の資産税10%を銀行で徴収する場合、その額は1000万円である。しかし、銀行にそれだけの貯金がなかったら、徴収できない。また、資産税はBIマネーを回収するために行われるのであって、現貨幣の税回収ではない。

 その場合、資産1億円ある者の資産税のBIマネーは毎月のベーシックインカムから差し引かれることになる。資産税が1000万円だとしたら、毎月の10万円のベーシックインカムは給付されないで、年120万円分のベーシックインカムは配給され即税徴収されることで1年間は配布されない。

 でも、もし資産がゼロになったら、ベーシックインカムとして全額月10万円BIマネーの給付がもらえることになる。

 つまり、現貨幣は現在の債券と税システムで、持続され、別個にベーシックインカムとして、貯蓄税と資産税が回収されて、機械的に配布される。

 金持ちにはベーシックインカムは配布されてもすぐに資産税として回収されるため、配給されないと同じになる。いわば、資産に応じてBIマネーの差引額が自動的に決まってくることになる。

 そうすると、資産がない人だけにベーシックインカムが行われ、国民すべての生活保障が実現できることになる。BIマネーを持っていない人には税金はまったくかからず、現貨幣の税制だけがそのまま引き継がれることになるので、大きな不満も起きないように思える。

 このBIマネーが社会的に認知されれば、それは健康保険のように、まったく無一文になると、自動的にBIマネーが月10万円入ってきて、安心して暮らせる。そして、働けば働いただけのお金は入ってくることになる。

 また、資産も収入がある人は自動的にベーシックインカムの給付はなくなるが、よけいな無駄遣いはしなくてもすみ、充分生活できることになる。
→全体の要約

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