貨幣とは需要者に商品を供給する力である


1,金と貨幣

▼ 金1g1円1ドル

 明治4年(1871年)円が誕生し、新貨条例により、金1グラム=1円=1ドルに定められた(当時江戸時代の1両は1円と交換できた

 古今東西、金の重さが貨幣の基準になっていた。

 一体、金がどうして貨幣の基準になったのだろうか?

・金の重さは永遠に不変である

 金の質と重さは常に一定であり、金は錆びたり、腐ったりしないため、時間とともにその重さが変わることない。商品の価値のハカリとして一定の価を出すだめ、最も信用が高いものになりえた。

・金の形はあらゆるものに変化できる。

 質の重さが一定に対して、金の形は無限に変化できる。時間空間を越えて、多様な商品が出てきても、その形に変えることができる。それは逆にいうと、どんな商品も一つの金に変換できるということだ。

・金は神の性質を持つ
 
 金は神のように空間時代を超えて不変なる存在であり、そして、あらゆる人々の心にも住み、あらゆるモノに変化できる。
 これは、神が人々の生活や信仰の中心になって支配したように、金は人々の生活を支え、支配することができたということだ。
 それは時代空間を越えて一定した金の重さが商品価値の基準になりえたことを意味する。


B金と商品

 ・ 金はあらゆる商品の姿になると同時に、商品は一つの金に換えられる
 ・ 金の重さはハカリによって解り、商品の価値は貨幣によって表示される
 ・ よって、商品の価値は貨幣というハカリによって決められる。

 ・金の重さを量るハカリは一定のバネの弾力にもどる性質によってできている。
 ・商品の価値を量る貨幣は人々の需要量と供給量の同量を基点にして造られている。
 ・需要が供給より多いと価値はプラスになり、逆に供給が需要より多いと価値はマイナスになる。

3 商品と貨幣

 ・需要とは人間の欲望である。
 ・供給とは自然・人工両方の生産物である。
 ・貨幣は人間の欲望量と自然や人工生産物量を同量にするバランス力である。
 ・よって、貨幣は欲望(また権力)でも、商品(またサービス)でもない。
 ・貨幣とは必要とする人々に、その必要分の商品を供給するシステム力である。    

4,需要と供給

 お金の発行と流通と回収は基本的な物価が決まるオークションに観ることができる。

 例えば、

 お米の値段をオークションで決める場合、

   1,売るお米の最低落札価値・・・最低供給

   2.買う人々の最高落札価値・・・最高需要

 で、物価が決まる。

 この時、必要なお金は最高落札価格分であるので、その金額がお金の発行額になる。
 そして、供給する側の最低落札価格が、お金の回収額になる。

 供給側はそのお米の再生産に必要な金額が入らないと生産は止まってしまう。生産・流通・消費が循環する助けをするのがお金であるからだ。

 これは、需要が高まると生産も多くなり、需要が少なくなると生産も少なくなる。これは人工生産物である。逆に自然生産物には限りがあるし、また、人工生産物にもその技術や材料にも限度があるので、供給にも限りがあるので、供給が少ないと、需要も高くなる。

 この需要と供給のバランスをとるのが貨幣である。それは世界全体でもいえて、世界全体で必要なお金の発行額は人類全体の需要総額になる。そして、その需要を満たすための供給に必要な最低総額になる。

 それは流通業の基本収支に観ることができる。商品を流通には、その商品を安く仕入れて、高く売る。安い仕入れ値段が回収費であり、最高の売値がお金の発行額にあたるといっていいだろう。

 いわば、お金は人類の欲望の代名詞であり、欲望の大きさがその発行額になり、その欲望を実現するために最低必要な商品やサービスの量が回収額になる。

 
 

5,お金の発行と回収
A お金は需要と供給から成っている

 需要と供給、そして、人間の欲望と自然人工生産とのバランス(バネ)の関係は、そのまま、「需要と人間の欲望」が「貨幣の発行金額」になり、「供給と自然人工生産」が「商品やサービス」の関係になる。

 

  • 発行された貨幣は消費者に必要であるので、まず最初に、貨幣は消費者に与えられる
  • 生産された商品はそのお金と交換され、お金は生産者に、商品は消費者のモノとなる。
  • 生産者が手にしたお金は腐ることもなく、売った価値金額のままいつまでも保有できる。
  • しかし、消費者が手にした商品は食べてなくなるか、消費してなくなるか、そのままにしても朽ち果てるかで、時間とともにその価値はゼロになる。
  • 生産者は手にしたお金で、今度は消費者として別の商品を買うことができる。



それ故に、お金は
  • 物々交換の手段
  • 交換価値の保存(価値が増減しない)
  • あらゆる商品・サービスと交換可能
になる。貨幣として金が使われたのは、金は錆びることなく、常に一定の重さを示し、また、金はあらゆる形に変化することができ、そこに価値の数字も彫り込むことができたからである。金は貨幣の象徴として、もっともその性格に適応したためだと判断できる。

金本位制からアメリカドル基軸通貨制

 しかしながら、世界における金の生産量はほぼ一定であり、人間の欲望(需要)の数だけの貨幣が必要であるから、金の生産量だけではすぐに足りなくなる。そのため、各国が金の保有量をとりあう結果となり、もっとも金の保有量をもった国が世界を支配することになる。しかし、人間の欲望は無限に増大し、限りがない。金貨の金の量がどんどん薄められたように、金の重さと貨幣の数字との差は無限に大きくなってしまう。

 そして、1971年、一番の強国であったアメリカ大統領ニクソンが、ドル紙幣と金の兌換禁止を発表した。この時点から、金本位制はなくなり、金と貨幣とはまったく無関係になったのである。

 貨幣は金でなくとも、世界のあらゆる商品とサービスと交換できるものであればよかったからである。

 そして、金の代わりにアメリカドルが基軸通貨になった。その基軸通貨の条件はこうである。

  • 軍事的に指導的立場にあること(戦争によって国家が消滅したり壊滅的打撃を受けない)
  • 発行国が多様な物産を産出していること(いつでも望む財と交換できること)
  • 通貨価値が安定していること
  • 高度に発達した為替市場金融・資本市場を持つこと
  • 対外取引が容易なこと

基軸通貨米ドル信用低下と統一通貨ユーロ

 だが、2008年大手投資銀行であるリーマンブラザーズが、約64兆円の負債を出し倒産から、米ドルの通貨価値はどんどん下がり、基軸通貨としての信用がうすくなってきている。

 それはアメリカの貿易赤字が増大したことと、米ドルの発行金額も増大したためと思われる。

 そのため、米ドルに代わる基軸通貨を世界各国が決める必要に今せまられている。

 その場合、どんなに強大な一国の通貨であっても、栄枯盛衰があり、その通貨価値はその国の経済状況で、常に通貨価値は変動するはさけられない。そのため、こうした基軸通貨は一国の通貨をもって、国際通貨とするようなことはしない方が得策である。

 世界は民主国家に移動している現在、国際通貨という名のように、国際連合で加盟国がみな同意できるような基軸通貨を新たに発行することが必要なときである。

 こうした国際連合が基軸通貨を発行するとして、それをどのように発行また回収するかが大事なテーマになってくる。

 そして、ユーロのような欧州連合による経済通貨が生まれた。そのメリットとデメリットがあるが、現在、ギリシャ危機があって、ユーロが暴落して、通貨安定にはならないことがわかってきて、単に通貨統合するような国際通貨では世界の基軸通貨にはなりえないことも証明している。

 こうした加盟国による国際通貨を作るには、貨幣というものの根本的な概念をきちんととらえないと、通貨は安定しない。
もし世界が統一通貨だったら

 ユーロのように、現在の基軸通貨である米ドルを世界の統一通貨にしたら、ユーロのようなメリット・デメリットがでてくるだろう。しかし、ここではもっと根本的な問題を追求したい。

 それはもし世界の統一通貨を発行したら、その発行額とその回収をどのようにするかである。それは各国通貨の発行と回収にも同じ問題がそこにあるからだ。

 先のように通貨の発行高は人類全体の欲望(需要)の量が現在の自然人工生産高との同量分、つまりバランスがとれる金額になる。それは世界人口とその生活文化の内容も含んだものである。

 これをどう計算するかがまず問題になる。

 この商品生産量も需要量も調査することから始め、その両者のバランス(価値)が貨幣発行額になる。それはオークションにおける落札価格と同じことが、世界全体で生産さる商品と、その需要度によって、全体の生産価値が生まれ、その生産価値の数字がお金の発行必要総額になる。

 例えば、世界中でとれる石油の量と需要度でオイル価格が決定される。このオイル価格とそのオイル総量をかけた金額が貨幣の必要発行額になる。

 つまり、世界の生産物価総額を計算すれば、お金の発行必要総額がでる。この総額は各国の国民総生産GDPで知ることができる。

 2010年の世界のGDPは63兆ドルであるから、63兆ドル分の貨幣総額が必要になる。この推移をみると、2008年のGDPは61兆ドル、2009年は58兆ドルであるので、増えたり、減ったりすることがわかる。

 一度発行された貨幣は電子管理されるので、ほとんど減ることなく、永続して使用できる。この統一通貨は今の基軸通貨のようなものであり、それが商品価値を決めるハカリであり、そのハカリが指し示す数字が常に安定していることが、きちんと、生産と需要バランスをとるには最低必要な条件である。

 現在、基軸通貨であるドル、欧州連合の統一通貨であるユーロの貨幣は世界のハカリではなく、商品のようにその価格が上がり下がりするので、世界の基軸通貨とは不適切である。

 世界で必要な貨幣総額を常に管理して、発行と回収をして、毎年必要な貨幣流通量を調整できることが基軸通貨の条件でもある。

 それは貨幣発行額が需要以上だと、物価は上がり、需要以下だと物価は下がるから、不安定になるからだ。それに、各国通貨の一つが基軸通貨であったら、その国の特殊な事情により、生産と需要バランスは違ってくるので、世界の基軸通貨にはなれない。世界の基軸通貨はあくまで世界のGDPを目安に発行回収調整されるものでなくてはならない。

E 実体経済と金融資産

 2008年の金融危機が起きる以前の貨幣はどうなっていたか。

 1990年 GDP(実体経済) 31兆ドル   :  金融資産  55兆ドル
 2007年 GDP(実体経済) 64兆ドル   :  金融資産 220兆ドル

 17年間で、GDPは2倍になり、金融資産は4倍になった。 そして、実体経済64兆ドルの3.4倍の金融資産220兆ドルに膨れあがった。

 物価は実体経済の「需要と供給」の関係だけではなく、もっと大きな要素がある。それが金融経済である。有名になったのが、石油価格の高騰である。先物商品市場に投資が多量にされると高騰するのである。また、各国通貨は金融市場にとって、金儲けできる投資対象になっている。

 通常商品に対する需要と供給があるが、そうした商品を生産する企業そのものを商品化するのが株式である。企業は株式会社であり、企業の持ち主は株主であるから、その企業の所有権を売買するのである。

 また、各国通貨はその国で発行するため、いわば企業における商品のようになる。国はまた株式会社みたいな構造になっている。国の株に当たるものは国債である。この国債は外国人でも売買できるので、そこに投資が働く。その国債への投資を左右するのが、その国の通貨である。各国通貨は基軸通貨との為替で変動し、とくに、基軸通貨がアメリカドルであるために、アメリカの経済政治状況に左右されてしまう。

 こうした、各国通貨、各国の国債、各国の株式は、所有権のような商品で証券・金融商品と云われている。

 現金は各国通貨であるが、同時に金融商品にもなりえるものである。この分離がはっきりできないことが、通貨の安定が難しい要因になっている。

 これは、通貨は商品の需要と供給のバランスで発行回収され、いわば、商品の値札(価格)であるが、今の通貨は商品価格そのものの需要と共有で変動している。これは商品の重さをはかるハカリが常に動いてしまい、読みとれないハカリ、壊れたハカリであるといえる。

 世界における基軸通貨も壊れたハカリであるから、世界経済は通貨と金融商品をはっきりと分けなくてはけして世界経済は安定することはできない。

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